スマート白杖の世界
スマート白杖の世界

みなさんは「白杖」を知っていますか? 白杖とは、視覚に障がいを持つ方々が、安全に歩行するために使用する杖のことです。そんな白杖にもスマート化の波が押し寄せています。そう、IoTやAIの技術を搭載した「スマート白杖」です。ここからは、スマート白杖のプロジェクトを紹介していきます。
1. WeWALK Smart Cane: スマートフォンと連携する革新的な白杖

「WeWALK Smart Cane」はロンドンを拠点とするスタートアップ企業WeWALKが開発したスマート白杖です。この製品は、振動の強弱で障害物との距離を伝えてくれます。
路面や足元の障害物しか検知できず、視覚障がい者は高い位置にある標識や木の枝まで超音波センサーと振動モーターを利用して伝えてくれます。また、マップとも連携してスマホをポケットから取り出すことなく白状本体のタッチパッドと音声で目的地まで辿り着けます。
2. みちしる兵衛: AIを搭載したスマート盲導杖

「みちしる兵衛」は高校生が作った革新的なAI技術を用いたスマート白杖です。
「みちしる兵衛」は、未踏ジュニアプログラムの一環として、高校2年生の時に開発が始まりました。開発者は最先端のAI技術を活用し、駅のホームでの転落事故防止や、横断歩道と人物を音声で案内する機能を備えています。開発者自身が群馬県在住で、1万枚の画像を使ってAIを学習させ、機械学習のデータを独自に作成しました。この技術のおかげで、色あせた横断歩道もしっかり認識できるのが大きな特長です。現在は実験段階にありますが、視覚障害のある方々を対象にしたテストも進んでおり、将来の展開が大いに期待されます。
3. スタンフォード大学のオープンソーススマート白杖

自動運転技術に着想を得て開発されたスタンフォード大学のスマート白杖は、安価でアップデート可能なオープンソースの製品です。使用者の歩行速度向上に貢献することを目的としたこのプロジェクトは、多くの視覚障害者の方々に希望をもたらしています。
スタンフォード大学の研究チームが、視覚障害のある人たちのための新しいタイプの杖、「Augmented Cane」を開発しました。この杖は、自動車が道を探るのに使われるような先端技術を取り入れており、周りにあるものを感知して、歩く際に障害物を避けられるようにしてくれます。特別なセンサーやカメラが付いていて、杖を使う人がどこにいて、どの方向を向いているかを教えてくれるのです。この杖のユニークな点は、小さな車輪がついていて、歩く時に右や左への微妙な誘導をしてくれることです。これにより、道を歩くのがより簡単に、そして速くなります。視覚障害のある方だけでなく、視力がある人も使うことで歩行速度が向上するという結果が得られました。さらに、このプロジェクトは誰でもアクセスできるように公開されているので、世界中の人々がこの技術を使って、さらに便利な杖を作ることができるようになっています。
4. 京セラのスマート白杖プロトタイプ

京セラが開発したスマート白杖のプロトタイプは、超音波センサーとカメラを使用して、地面の障害物や交差点、道路標識を認識し、音声で使用者に通知します。屋内でのナビゲーションテストも成功裏に完了しており、実用化に向けた期待が高まっています。
5. 5G/MECを活用した白杖検知プロジェクト
JR東日本、セントラル警備保障、KDDIの3社が協力し、5GやMEC、AI技術を活用した白杖検知システムの実証実験を行いました。JR浜松町駅とJR立川駅での実験を通じて、駅構内での視覚障害者の安全性向上に向けた技術の有効性が検証されています。
これらの革新的なプロジェクトは、視覚障害者の方々が直面する様々な課題を解決し、日常生活においてより自立し、安全に活動できるよう支援することを目的としています。技術の進歩とともに、視覚障害者の方々のQOL向上に向けた取り組みが加速することが期待されます。